●美味しくなる。だから温める。まだ美味しい燗酒に出会えてないアナタへ
冬の楽しみって何ですか?
ウインタースポーツ、イルミネーション、こたつに入ったり、鍋料理が美味しかったり、おでんが美味しかったり。
温かい食べ物が美味しいと答える人が多い冬ですが、そんな冬の楽しみの1つが燗酒。
燗酒を飲む人の方が、燗酒を飲まない人よりも日本酒ライフは充実しているはず!
燗酒を飲む人の方が、燗酒を飲まない人よりも発言に説得力が増す。
みんなから支持される。
燗酒を飲めば自分に自信が持てて、想いを伝えられる。
かな?
Byヤバい酒屋さん
冗談はさておき、佐野屋では「日本酒達人化計画」と題し、入門者を中級者へ。
そして、中級者を上級者へ。
一人でも多くの日本酒の達人に増やすことを目論んでいます。
その一環として今回は、まだ美味しい燗酒に出会ったことがないオマイラに燗酒の道をご案内します。
素朴な疑問なんですが、そもそも社長って燗酒を飲まれるのですか?
社長は普段から「お燗を付けるのは面倒くさい」と、この業界の人とは思えないことを口にされていますが。
私も(燗酒を)飲みますよ。
面倒臭いと思うからこそ、そんな面倒では無く、尚且つ美味しい付け方を知っています。
但し、電子レンジは使いません。
なるほど。
それは是非皆様にお伝えしないと!
僕は電子レンジではやりませんが、お燗を飲まれない位なら、私は電子レンジでも良いのでやってみて欲しいって思う派です。
私も電子レンジは否定しません。
問題は上と下とで温度差が生じることです。
そのあたりの上手な解決方法があるのなら。
どうしても加熱ムラは起こってしまいますね…。
かき混ぜるとか、熱くなり過ぎたら冷や(常温)を差すとか。
となると、余計面倒になりますね。
そういうことですね。
かき混ぜるよりは一層のこと、保温性の良い別の容器に移す方が混ざるでしょうね。
魔法瓶に移すとか。
電子レンジの燗酒というのは、冷た過ぎた時に少し付け直す時が面倒。
適温にコントロールしにくいのです。
僕の普段のお燗の付け方は、ちろりを湯沸かしポットに引っ掛ける。
これが一番楽です。
お湯の温度が下がれば勝手に電気で温めてくれますので、次もすぐにお燗が付けられます。
お湯を容器に入れて付ける方法だと、1回しか、温度によっては1回も付かりません。
それと、魔法瓶って話が出ましたが、お燗は空気に触れる方が味わいが円やかになるので、密閉性の高い容器はおすすめ出来ません。
味が角張りますし、ムワーッと香りが上がって来ます。
いわゆるお燗が嫌いな人の苦手な香りです。
私は普段燗酒を飲む時はこの酒燗器を使っています。
かれこれ20年以上使っています。
私が日本酒を飲み始めた20代のころ、新潟県の「美の川酒造」という蔵とお付き合いがあって、蔵元の松本社長さんと大阪市の地酒専門店の店主さんと飲んでいた時に紹介して頂いた物です。
台湾製で、本来は紹興酒を温めて飲む道具なのですが(笑)
なので、欠点は少し量が少ないこと。
ですが、飲み過ぎ防止にはなります。
その時はまさか20年以上も使い続けることになろうとは思いもよりませんでした(笑)
結局、電子レンジよりこっちの方が便利なんです。
1回お湯を入れたら、お猪口2杯から3杯位までは温度を維持出来ます。
店主が20年以上愛用している酒燗器。
元々は紹興酒をお燗にして飲む為の物。
確かに電子レンジよりも便利そうですよね。
自分で好きな温度に調整できますから。
軽く1口飲んでみて、ぬるいと思ったらもう少し付けておけばいい。
熱いと思ったら抜いて冷ませばいい。
それでもって、お猪口2杯から3杯位は保温出来ます。
僕も難しいことは全くしません。
温度なんて試飲でデータが欲しい時以外はほぼ計りませんし。
私も家で自分が飲むのに温度計は使いません。
普段からそんなことをしていたら長続きしませんから。
逆にブレを楽しむことを推奨します。
全く同感です!
熱過ぎ、ぬる過ぎのブレは、温度によるお酒の味を発見出来るチャンス。
そもそも、温度による味の違いを楽しむのが燗酒の醍醐味なので。
ビックリするくらい同じ考えです♪
自分も「玉川の木下酒造」の杜氏、フィリップ・ハーパーさんの影響を受けてお燗が大好きになりましたので。
「温度で遊ぶ」
これはハーパーさんの名言です!
ここまで同じ考え方なのに、たまにしか飲まない社長と真夏や真冬に関わらず、日常的に飲む僕。
これも嗜好品らしくて良いですね。
適温など考えないことが適温の近道。
どの温度帯が適温なのかはケースバイケースなので。
温度って面白いですよね。
例えば、同じ温度でも上がってる時と下がっている時では味わいが変わります。
上げ切ってからの燗冷ましはメチャメチャ円やかで美味しいです!
お燗が苦手な方でも燗冷ましなら気軽に飲めるのではないでしょうか。
あと、付け方で言うと、器に注いだ時に温度が下がることを想定して付けていらっしゃる方は少ないです。
このように細かいことを言えばキリがありません。
そんなことより、自分が飲んで美味しいって思える温度が正解だと思います。
しかし、私は特に温度を気にすること無く飲んで、何の文句も無く美味しいお酒こそ、とても優れたお酒だという考えも持っています。
常温ではイマイチだけど、温めたら美味しくなったというお酒を「燗晴れした」というのはちょっと違うように思っています。
それは社長の嗜好なので、それで良いのではないでしょうか。
僕も冷や(常温)で美味しく飲めるお酒が良いお酒だと思っています。
コップ酒最高!
けど、時々「冷酒で飲んでも申し分無いけど、燗酒にしたらもっと別の美味しさに出会えるかも」というお酒に出会えることがあります。
そういう時ですね、この酒燗器が登場するのは。
社長が最近飲んで「これはっ!」って思われたお酒は?
先週末(2021年1月16日)に飲んだ「遊穂生もと純米 玉栄(たまさかえ) 生原酒」です。
生原酒なので冷酒でそのまま飲んでも十分美味しいのですが、「これは燗酒にしたらもっと美味しくなる」という気持ちが芽生えました。
生酒なので、温度を上げることによる弊害もあるのですが、それすら美味しさに変えてしまう味わい。
では、金巻君が最近飲んだ中で、これは!と思った燗酒は?
「遊穂 山おろし純米酒」です。
「遊穂」ですか、重なりましたね。
「遊穂」は昨年末に新規取り扱いを開始したばかりで、私も全商品を個人的に取り寄せて試飲している最中です。
「遊穂」以外にはどんなお酒が良かったですか?
「都美人の超上撰」
「根来桜(ねごろざくら) 山廃本醸造」
「ほまれの本醸造」
などなどです。
中でも特に、あー、やっぱり美味しいわぁ、ってグッと来たのは「遊穂の山おろし」です。
「都美人」と「根来桜」は冷や(常温)で飲んでも美味しいですね。
決して万人受けするお酒では無いかも知れませんが、このジャンル(普通酒・本醸造)の味の良さが分かる人にはたまらないお酒ですね。
ところで金巻君。
以前、あなたに「燗酒推奨酒のピックアップ」を任せたところ、1ページに登場する商品の大半が、にごり酒や活性にごり(スパークリング)ばかりを選んだことがありましたよね。
そこで、にごり酒や活性にごりがお燗に向いている理由を教えて下さい。
まずはにごり酒から。
僕の中ではスパークリングというよりは活性にごりなので、にごり酒とスパークリングはイコールだとお考え下さい。
それを踏まえた上で、甘酒を想像してみて下さい。
温めて飲んだら美味しいですよね?
にごり酒は甘味を削ぎ過ぎると苦渋が出るので、甘く造られているお酒が多いです。
なので、甘酒のイメージなんです。
温めることで味が落ち着いてバランスが更に良くなるんです。
確かに、昔のにごり酒は甘いイメージがありました。
けど、最近は辛口のにごり酒も多くないですか?
確かにありますが、僕はにごり酒には適度な甘味が必要だと思っています。
あくまでも個人的な見解ですけどね。
その前に、にごり酒ってあまり注文しないお酒じゃありませんか?
私も飲み屋さんに行って、沢山の種類の中から選ぶ際、にごりは候補から外れることが多い。
そもそも置いていない飲み屋さんの方が多い。
僕はにごりは食中酒として万能だと思っているので、もっと多くのお店に取り扱って頂きたいですし、気軽に飲んで欲しいと思います。
例えば、餃子とにごり酒はメチャメチャ合います!
更に、マッコリから想像を膨らませれば、韓国料理、焼肉。
他にも、揚げ物、生姜、ニンニク、ネギ、ごま油を使った料理。
これらとにごり酒の相性はバツグンです!
なるほど。
「川鶴の讃岐くらうでぃ」がまさにソレですね。
このお酒は香川県の名物料理「骨付鳥」に合わせるお酒として造られたものですが、確かに骨付鶏に限らず、焼き肉や餃子にも合いそうなお酒ですね。
はい!
では、金巻君がオススメするお燗で飲んで美味しいにごり酒は?
2つとも「花垣」じゃないですか。
今、パッと思い付いたのはこの2つ。
「花垣のにごり」はうちのラインナップの中でもクオリティが特に高いので!
僕が夏季限定商品のShuShuShuを大量に仕入れて、ほぼ通年まで引っ張っているのはやっぱり酒質がズバ抜けて高いからなんです。
それに、うちで通年で販売しているにごり酒は「花垣」のみ。
では「花垣」以外に挙げるとしたら?
「都美人」「喜楽長」「車坂」
「花垣」も含めて全て能登流のお酒です。
能登流のにごりはとにかくクオリティが高いです。
あと、能登流ではありませんが、「玉川 純米にごり(速醸)」
つまり、米の旨味を引き出すことが上手い蔵のにごりが美味しいと言えるのではないでしょうか。
なるほど。
分かりました。
けどね、金巻君、甘い活性にごりはわざわざお燗にしなくても冷酒で飲んでも美味しいのに、わざわざお燗にして飲む理由というのが分からない。
お燗にして飲まなきゃいけない理由は?
絶対にお燗で飲まないといけない、とは僕も思いません。
その上で、お燗でも美味しいと思う理由は、甘味や酸味、米の旨味など、色んな味のバランスが整うからです。
あと、「温度の同調」って大切です。
最初の1杯や冷菜に合わせる場合は冷酒で良いと思います。
ですが、温かい料理にはお燗が合いやすいです。
例えば茶碗蒸しとか。
確かに。
茶碗蒸しは良い例ですね。
茶碗蒸しを食べる時、冷酒とお燗なら、お燗の方が合いそうなのはイメージ出来ますね。
僕は「寒いからお燗、暑いから冷酒」では無くて、「目の前のお酒と料理を楽しむならどちらか」で決めています。
なので、夏でもお燗で飲むお酒は汗をかきながらでもお燗で飲みます。
同調という手もあれば対極という手もありますよね。
冷たいお刺身に、敢えて少し温かいお酒を口に入れてやるとか。
温度に変化を付けることで舌を飽きさせないというか。
それと、お燗だと早く酔うので少量で済みますから、次の日が楽です。
お酒の失敗でよく聞くのが、にごり酒って甘くて口当たりが良いので、どうしても飲み過ぎてしまうんです。
にごりはアルコールが軽く感じやすい上に口当たりが良いから飲み進む。
冷酒だと胃の中で温まって酔いが回るまでに時間が掛かるから、酔って来た頃には相当飲み過ぎている。
お燗だと既に温まっている分、「酔いのタイムラグ」が少ないから飲む量が適正に収まる。
結果、飲み過ぎを防げる訳ですね。
はい。
お燗だとその心配がありません。
にごり酒って料理に合わないって思っていらっしゃる方が多いので、お酒だけで飲んでしまうこともあると思います。
それも酔いやすい要因です。
でも、お燗にするとアテが欲しくなりますし、飲み方がゆっくりになるので悪酔いしにくいです。
まとめると、濁りをお燗にするメリットは、料理との相性が良くなる。
それと、温めることでお酒その物の味が調和する。
更ににごりに限らずお燗としてのメリットとしては、お燗は温かいお酒をちびちび飲むので飲むスピードがゆっくりになる上に料理と一緒に飲みたくなるので身体への負担が軽くなる。
酔いのタイムラグが少なく、飲む量が適正になりやすい。
結果、悪酔いしにくい。
そうです。
あと、にごり酒なら何でもお燗の適正があるとは限らないので、その辺りは自分で試してみる。
にごり酒を買ったら、徳利1本分位は燗にしてみられては?ということで。
お酒は嗜好品なので、自分が美味しいと思う飲み方が正解です。
実は、年末年始に「喜楽長 純米にごり 活性生酒」を飲んだのですが、その時は上澄みを飲み切って、にごり成分だけを残しておいてお燗にするというマニアックな飲み方をしました(笑)
幾らでも話が続きそうなので、今回はこの辺りにしましょう。
寒い冬はお燗を付ける機会も多いと思うので、その時、お手元ににごり酒や活性にごりがあれば皆様も是非お試し頂きたいです。
対談で登場した燗酒にしておいしいお酒
対談で登場した燗酒にしておいしいにごり酒
最近飲んだお酒の中で燗酒として推奨するお酒を1本選ぶとしたら私は迷わずこのお酒。
◆遊穂 生もと純米 玉栄(たまさかえ) 生原酒 御祖酒造(石川県)
720ml 1,581円(税込み)
1800ml 3,160円(税込み)
「遊穂」の新規取り扱いに当たり、店主は現在販売中の商品を自腹で全部取り寄せて試飲。
その中で、冷酒で飲んでも十分に美味しく、その上お燗でも飲んでみたい!
と思い、お燗にした所、別の美味しさが表れたお酒がこちらです。
つまり「冷酒で飲むよりお燗にした方が美味しいね」では無く「冷酒でも申し分無く美味しいけど、お燗にしたら別の美味しさが表れ、どちらで飲んでも美味しい」というレベルのお酒です。
このお酒の良い点は、程よい甘み。
冷酒で飲むと、少し甘酸っぱいタイプのお酒。
そこに、生酒の要素も加わり少し円さもある。
それだけで想像出来ますよね。
温めたら美味しくなりそうなことが。
推奨温度は「常温」
または「人肌」程度の温燗(ぬるかん)。
食べられる物の種類が増えること。
飲めるお酒の範囲が広がることは食生活の充実に繋がります。
これを機会に温かいお酒の世界にも是非。
【720ml 商品ページはこちら】https://www.jizake.com/c/sake/yuho/ns470015c00
【1800ml 商品ページはこちら】https://www.jizake.com/c/sake/yuho/ns470015m00
大人気の残草赤ラベル!出羽燦々の良さが生きた美酒!
◆残草蓬莱 純米吟醸 出羽燦々50 大矢孝酒造(神奈川県)
720ml 1,650円(税込み)
1800ml 3,390円(税込み)
普通酒とかコテコテの熟成酒とか、オススメは色々あるのですが、ここでは思いっ切りハードルを下げることにしました。
私が普段からほぼ冷酒で飲まない、冷や(常温)かお燗がメチャウマな「大矢孝酒造(おおやたかししゅぞう)」の看板商品をご紹介!
「残草蓬莱(ざるそうほうらい)の赤ラベル」こと「出羽燦々の純米吟醸」です。
私の中でのお燗酒の絶対条件は香りが穏やかで料理に合わせやすい食中酒であること。
中でも造り手さんが食べること飲むことが大好き、更にはお燗が大好きな方なら間違いナシ!
「大矢孝酒造」の蔵元杜氏、大矢さんはまさしくその典型!
先に言っておきますと、冷酒でも美味しいです!
ですが、温度を上げてあげると、爽やかさはそのままに、円やかさが加わって、米の旨味がじんわり広がる♪
たまらないお酒に変わるんです!
私は温度は気にせず、割とガンガンに上げてからゆっくり飲みますが、どんな温度でも美味しく飲めますのでお気軽に。
一番のオススメはガッツリ温度を上げ切ってからの燗冷まし!
燗冷ましの美味しさを知ったら燗酒は止められなくなります♪
熱いお酒は苦手って方でも冷めたお酒ならスイスイ飲めるハズ!
温度を上げる前と後とではお酒の円やかさ、滑らかさが全然違います!
「大矢孝酒造」のお酒には「残草蓬莱(ざるそうほうらい)」と「昇龍蓬莱(しょうりゅうほうらい)」の2種類があります。
どのお酒もお燗で美味しく飲めますので、お気軽に飲み進めて行って下さい。
きっと、美味しさにハマるハズ!!
(文章:金巻 忍)
【720ml 商品ページはこちら】https://www.jizake.com/c/sake/ooya/Sake3051_2_720
【1800ml 商品ページはこちら】https://www.jizake.com/c/sake/ooya/Sake3051_2_1800
皆で飲もう!誰でも気軽に楽しめるお酒、富久錦のどぶろく!
◆富久錦 生のどぶろく 富久錦(兵庫県)
1500ml 2,750円(税込み)
対談でにごりネタをほぼ出し尽くしました。
同じ物を紹介する訳にはいきません。
そこで、ひらめきました!
お燗で美味しいあのお酒、忘れてるやん!
そう、究極のにごり(笑)どぶろくです!
どぶろくのお燗ってメチャメチャ美味しいんですよ。
例えるならば、食べる大人のホットカルピス(笑)
(法律が許してくれるなら、お子ちゃまでも美味しく飲めるかと♪もちろん、マネしたらダメですよ!)
アルコール度数も1桁台で軽いですし、甘酸っぱいですし、とにかく飲みやすい!
冷酒から飲み始めて、気が向いたら温めてみて下さい。
ホットカルピスに早変わりしますから。
書いてるだけで飲みたくなって来た(笑)
(文章:金巻 忍)
【1500ml 商品ページはこちら】https://www.jizake.com/c/sake/fukunishiki/Sake9228_1500