
一度飲めば忘れない。深くやさしい辛口の余韻。 ◇阿櫻 純米無濾過原酒 有機雄町70%
商品説明
《 ひと口ごとに重なり合う、煮魚の旨味と酒の余韻 》
──雪がしんしんと降っていた。
鍋の火を止めた彼女は、そっと小鉢の蓋を開ける。
湯気の向こうから、醤油と砂糖と生姜の甘辛い香り。
よく煮込まれた鯉の甘煮が、艶やかに照りをまとって静かに湯気を立てていた。
仕上げに添えた山椒の緑が、濃い色合いの中でそっとアクセントを加えている。
箸を入れると、鯉の身がふっとほぐれ、皮の部分からじんわり旨味が染み出していた。
彼女はまず身の部分をひと口。
淡水魚らしいうまみがじゅわっと広がり、口の中にゆるやかに滲んでいく。
盃に注いだのは、「阿櫻 有機雄町 無濾過原酒」。
再生紙のラベルには力強く“阿櫻”と書かれ、その横に「有機純米酒」「雄町」の文字。
香りは控えめ。
口に含むと、雄町らしい深い旨味が静かに広がり、少し遅れて芯のある辛さがすっと喉を通り抜ける。
そして、後口は意外なほどしっとりしていた。
もう一度彼女は、じっくりと煮込まれた鯉の一切れを箸にとる。
やわらかな身に絡んだ煮汁の甘みと、ほのかに残る歯ごたえ。
その繊細な食感と奥深い旨味が、酒の余韻にふわりと重なっていく。
口の中で味と温度がゆるやかに混ざり合い、ふと時間の流れさえ緩むようだった。
白いご飯を少し添えながら、またひと口鯉を。
そして、盃を手に取り、また酒を。
「雄町か……」彼女の中にふと、ある横顔がよぎる。
それだけの余韻を残して、彼女はまた、酒と料理に意識を戻した。
雪はまだ、やまない。
《 厚みも奥行きもそのまま届けたい、有機雄町の純米酒 》
秋田県の老舗・阿櫻酒造が手がける「阿櫻 純米無濾過原酒 有機雄町」は、岡山県産の有機JAS認証雄町を100%使用し、秋田雪国酵母UT-1で丁寧に仕込まれた一本です。
70%精米という磨きすぎない米の輪郭を生かした造りは、雄町特有の力強い旨味と奥行きを素直に引き出しつつ、無濾過原酒らしい厚みを残しています。
有機肥料による栽培米と再生紙ラベルが語るのは、自然との共生と酒造りへの誠実な姿勢。
伝統と実直さ、そして環境への配慮。
この酒は、装飾を削ぎ落とし、素材と技で醸す誠実な1本。
食卓に置けば、静かに、けれど確かにその存在を語りはじめるでしょう。
《 旨味を重ね、余韻でほどける。料理と語る酒 》
岡山県産・有機JAS認証の雄町を100%使用し、秋田雪国酵母UT-1で醸されたこの酒は、控えめな香りと、雄町特有の力強くも丸みを帯びた旨味が印象的です。
日本酒度+6.0と、一見辛口の設計ながら、ただキレるだけではない「しっとりと残る余韻」をつくり出しています。
おすすめの飲み方は、まず冷酒で。
ひんやりとした温度で飲めば、後味の清らかさが際立ちます。
また、常温~ぬる燗に温度を移していくと、雄町のふくよかさと酒の甘みやコクがやわらかく広がり、また違った表情を見せてくれます。
合わせたい料理は、旨味と脂のバランスを意識したもの。
たとえば、鯉の甘煮や鶏の照り焼き、ぶり大根のような煮物。
醤油の香ばしさや脂のコクを受け止めつつ、後口をすっきり整えてくれます。
また、和風ハンバーグや厚揚げ焼きなど、現代的な家庭の献立にも好相性。
塩気のきいた酒肴や白身魚の昆布締めと合わせれば、より繊細な調和も楽しめます。
《 味がほどける瞬間、雄町が静かに寄り添う。 》
最後のひと切れの鯉を口に運ぶと、煮汁の甘辛さとやわらかな身が、静かに舌の上でほどけていった。
皮と身が重なる旨味に、酒の余韻がそっと溶け込み、心の底にまで静かに沁みてくるようだった。
彼女は普段、山田錦を好んで選ぶ。
香りとキレ、口当たりの澄んだバランスが、自分にはちょうどいいと感じていた。
けれど今夜は、あえて雄町にしてみた。
雄町が好きな人がいた。
今夜も、どこかでこの米の酒を飲んでいるのだろうか。
今も変わらず、飲んだ後に短い感想をメモしているのだろうか。
懐かしい思い出が、湯気の向こうにふっと立ちのぼる。
盃の中には、まだあと少し残っている。
雪はまだ、やまない。
空の白さと、酒の澄み具合が、どこか似ているような気がしていた。
彼女は火を落とし、卓上に残る湯気をぼんやりと眺めながら、手元の盃を、そっと口元へと運んだ。
《 保存・発送について 常温発送可能です 》
この酒は火入れが行われている酒の為、常温でお送りします。
ご家庭で普通に楽しむ分には必ずしもクール発送は必要ありません。
クールをご希望の方は必ず「クールチケット(500円)」をご購入下さい。
ご家庭で普通に楽しむ場合は常温保存で構いません。
ただし、長期間保存の場合は極力光が当たらない場所、
そして振動と温度変化の少ない場所をおすすめします。スペースに余裕があれば冷蔵庫での保存をおすすめします。
《阿櫻を造る「阿櫻酒造」とは。》
かまくらで有名な雪深い秋田県横手市に明治19年に創業。
代表銘柄「阿櫻あざくら」は横手市のシンボル横手城の別名、「阿櫻城 あざくらじょう」が由来。
酒造りの技術職人集団(杜氏とうじ)のうち全国五大杜氏の一つが横手市が発祥の山内杜氏(さんないとうじ)。
地元横手に生まれ育った現役の杜氏 照井俊男(てるいとしお)が酒造りのすべてをとりしきっています。
杜氏歴30年以上の大ベテランのもと「まずはやってみよう」と積極的に斬新な酒を生み出す。
寡黙であるものの内に秘めた情熱をもって酒造りに取り組んでいる東北を代表する酒蔵です。
(文章:藤井 昇)
商品スペック | |
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容量 | 720ml |
製造元 | 阿櫻酒造(秋田県) |
特定名称 | 純米酒 |
原材料 | 米・米麹 |
生/火入れ | 火入れ酒(加熱処理有り) |
保存 | 静かな冷暗所 |
メーカーサイト | http://www.azakura.co.jp/ |
■甘辛:辛口 ■原料米:岡山県産有機雄町 ■精米歩合:70% ■アルコール度数:17.1度 ■日本酒度:+6.0 ■酸度:1.7 |
商品と一緒に写っている酒器も販売してます。ガラス作家:塩原清夏 作品