
土地・素材・技が結ぶ、澄んだ辛口のやさしい一杯。 ◇阿櫻 純米無濾過原酒 有機山田錦70%
商品説明
《 語らなくていい夜がある。阿櫻の澄んだ辛口が、出汁香る湯気に答えてくれる 》
鶏出汁がふつふつと鳴っている。
比内地鶏の脂が細かな輪になって鍋の表面をめぐり、せりと舞茸の香りが湯気に溶ける。
卓上の小さな徳利から盃へ、ほのかに淡い琥珀色な液体が静かに落ち、縁を濡らす。
口に含むと、最初の一拍で背筋がほどけ、二拍目にすっと切れ、三拍目で米のふくらみが残った。
彼は箸先できりたんぽを持ち上げ、湯面を撫でる湯気を避けるように顔を少し傾ける。
唇の端に微かな笑み。
盃を置く所作は驚くほど静かで、指の腹に残ったわずかな冷たさを確かめるように、卓布を親指でひと撫でしてから、また鍋へ視線を戻す。
頬のあたりが、湯気と酒気でほんのり色づいている。
鍋の脇に置かれている一本の瓶。
貼られたラベルは再生紙の材質、色は薄茶色であろうか。
中央には「阿櫻」と逞しい筆文字のロゴで描かれている。
他には「山田錦」という文字や「有機米使用」という文字も確認できた。
いや、嘘だ。今初めて確認したわけではない。
彼は前々からこの酒を飲みながら、きりたんぽ鍋を食べるのを楽しみにしていたのだ。
瓶の内側からは、さっき口に含んだ“澄んだ辛口”の気配がまだ立ちのぼっている気がする。
彼は一瞬、指先で「有機米使用」の文字をなぞり、何かを確かめるみたいに小さくうなずいた。
出汁がまた一段深くなる。
盃はいつのまにか二度目の半分まで減っている。
箸先のきりたんぽは、鶏の旨味を吸いきって、ほぐれそうでほぐれない境目にある。
彼は火加減を弱め、座り直し、湯気の向こうへ視線を投げる。
窓の外で雪は降っていない。
けれど、部屋の温度や匂い、喉を通る一本の線が、遠い記憶の冬景色を思い出させる。
もう少しだけ出汁を吸わせよう。
もう少しだけ、この酒の余韻に耳を澄まそう。
そう決めたように彼は盃を取る。
ラベルの「山田錦」と「有機米使用」が、また一度、指先の記憶に触れる。
さて――話の続きは、次の一杯のあとにしよう。
《 土地・素材・技が揃う一杯。澄んで切れる、やさしい辛口 》
高精白一辺倒ではない選択――。
当商品は、岡山県産の「有機JAS認定の山田錦」をあえて精米70%にとどめ、米の輪郭と厚みをほどよく残しました。
お酒を濾過や加水で整えず、素材と仕込みの“素顔”をそのまま瓶に閉じ込めた、無濾過原酒のお酒です。
酵母には秋田雪国酵母(UT-1)を採用。
冷涼な環境下での緻密な管理が、香りは控えめでクリア、後口にキレという性格を引き出し、アルコール17度台の原酒らしい充足感とともに、食卓に静かな存在感を残します。
手に取れば、再生紙調の質感のラベルに「阿櫻」の力強いロゴ、そして「山田錦」「有機米使用」などの明快な表示。
数字だけで語らせない、土地・素材・技の整った関係を、日々の一杯にそっと差し出す一本です。
《 香り控えめ、余韻は凛と。食卓を静かに整える一本 》
透明感のある口当たりに、山田錦らしいふくらみが静かに重なり、余韻はキリッと清らか。
「阿櫻 純米無濾過原酒 有機山田錦70%」は、香りを控えめに整えた穏やかな辛口設計です。
まずは冷酒~少し冷や(10~14℃)でシャープなキレを。
次に常温(15~18℃)で米の旨みの膨らみを。
最後はぬる燗(30~35℃)でやさしい甘みを感じてください。
合わせる料理は、きりたんぽ鍋や比内地鶏の塩焼き、山菜天ぷらなどの和食が相性抜群!
他にも、焼き野菜のマリネ、鶏むねのソテー塩レモン、いぶりがっこ&クリームチーズなど、塩味・燻香・発酵のコクを持つ一皿と好相性です。
《 湯気のあとに残る静けさ。阿櫻の澄んだ辛口が灯る夜 》
片付いた食卓に、湯気はもうない。
鍋の底に残った鶏出汁の香りと、「阿櫻 純米無濾過原酒 有機山田錦70%」の澄んだ辛口だけが、部屋に細い余韻を引いている。
盃をすすいだ指先に、まだ軽い痺れの記憶。
瓶のラベル――山田錦、有機米使用――をもう一度なぞって、彼は小さく息を整える。
満ちた腹も、静かな頭も、今夜はよく働いてくれた。
照明を一段落として椅子に深く腰を沈めると、遠くで雪が降り出す気配がした。
メモ帳に短く「よかった」とだけ書く。
続きは、明日の一杯で。
《 保存・発送について 常温発送可能です 》
この酒は火入れが行われている酒の為、常温でお送りします。
ご家庭で普通に楽しむ分には必ずしもクール発送は必要ありません。
クールをご希望の方は必ず「クールチケット(500円)」をご購入下さい。
ご家庭で普通に楽しむ場合は常温保存で構いません。
ただし、長期間保存の場合は極力光が当たらない場所、
そして振動と温度変化の少ない場所をおすすめします。スペースに余裕があれば冷蔵庫での保存をおすすめします。
《阿櫻を造る「阿櫻酒造」とは。》
かまくらで有名な雪深い秋田県横手市に明治19年に創業。
代表銘柄「阿櫻あざくら」は横手市のシンボル横手城の別名、「阿櫻城 あざくらじょう」が由来。
酒造りの技術職人集団(杜氏とうじ)のうち全国五大杜氏の一つが横手市が発祥の山内杜氏(さんないとうじ)。
地元横手に生まれ育った現役の杜氏 照井俊男(てるいとしお)が酒造りのすべてをとりしきっています。
杜氏歴30年以上の大ベテランのもと「まずはやってみよう」と積極的に斬新な酒を生み出す。
寡黙であるものの内に秘めた情熱をもって酒造りに取り組んでいる東北を代表する酒蔵です。
(文章:藤井 昇)
商品スペック | |
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容量 | 720ml |
製造元 | 阿櫻酒造(秋田県) |
特定名称 | 純米酒 |
原材料 | 米・米麹 |
生/火入れ | 火入れ酒(加熱処理有り) |
保存 | 静かな冷暗所 |
メーカーサイト | http://www.azakura.co.jp/ |
■甘辛:辛口 ■原料米:岡山県産有機山田錦 ■精米歩合:70% ■アルコール度数:17.2度 ■日本酒度:+6.0 ■酸度:1.6 |
商品と一緒に写っている酒器も販売してます。ガラス作家:塩原清夏 作品