今回の訪問先は兵庫県南あわじ市の「都美人酒造」。
代表銘柄は「都美人」です。
蔵の前の看板の横でパシャリ!
奥に長く続く蔵の敷地。
酒を搾る槽場(ふなば)の前には何と消防車が!
良い味を出していると思うのですが、そろそろ撤去を考えていらっしゃるそうです。
それでは蔵の内部へ。
甑(こしき)で米が蒸されています。
甑布がプーッと膨れていますね。
もうそろそろ蒸し上がります。
ご覧下さい。
こちらの甑には竹が巻かれています。
これは結露を防止する為に巻かれています。
結露で甑に触れた蒸し米がベチャベチャにならない為の対策です。
米が蒸し上がりました。
甑布が取り払われます。
階段も設置されました。
蒸し上がった米をシャベルで掬っています。
私も何度か経験があるのですが、これがなかなかの重労働なんです。
しかもメガネを掛けていると曇るんですよね。
シャベルで掬い取った米を今度は布に移し変えます。
布で包んだ米をダッシュで運びます。
ちなみにこの蒸し米は麹米ですので、隣の麹室に運ばれます。
こちらが都美人酒造の特長の1つと言って良い、巨大な麹室!
前の蔵で麹造りを担当されていた山内杜氏のこだわりが凝縮された麹室です。
山内杜氏が設計から関わられています。
何と、ご自身で図面まで引かれたのだとか。
麹室に運ばれた米を手早く均一に広げて行きます。
これが引き込みの作業です。
今回は大吟醸用の麹米です。
こちらは酒母室です。
酒の元となる酒母を仕込む部屋です。
酒母タンクに蒸し米を投入しています。
こちらが酒母タンクの中です。
投入された蒸し米が見えていますね。
酒はいきなり大きいタンクでは仕込みません。
まずは、小さいタンクで酒母を仕込み、酵母を増やします。
酒母タンクがズラリ。
手前が速醸。
奥が都美人の顔、山廃です。
酒母の仕込みが終わり、機材を洗浄されています。
酒造りにおいて清掃はとても重要な作業です。
酒を造っている微生物にとって働きやすい環境を整えるのが人間の最大の仕事。
ちなみに、今、洗っていらっしゃるのは暖気樽(だきだる)です。
酒母の温度を上げ、糖化を促進させる為に、樽の中に65度程度のお湯を入れて使用します。
湯たんぽのような物です。
酒母はこのように毎日分析してデータを取られます。
酒母の分析は分析室では無くて、こちらの酒母室の端のスペースで行われています。
こちらの方が山内邦弘(やまうちくにひろ)杜氏です。
掛け米はこのようにクレーンで吊って放冷機に投入されます。
今はこのようにクレーンで吊って移動させる蔵が増えました。
もちろん今でもシャベルで掘っている蔵はあります。
クレーンで吊って放冷機に投入された蒸し米はベルトコンベアーで運ばれて行きます。
その間に粗熱が取られ、ほぐされて出て来ます。
放冷機を通過した蒸し米はエアシューターで仕込みタンクに運ばれます。
途中、このように何度も櫂入れをして全体を混ぜます。
今回は醪(もろみ)を搾る、上槽(じょうそう)にも立ち会うことが出来ました。
今回搾られていたのは普通酒です。
搾り始められたばかりなので、撮影時はまだ酒は出て来ておりませんでした。
再び麹室に戻って参りました。
山内杜氏がワンカップに何かを入れてますね。
カップを上からガーゼで覆い、輪ゴムで止めて。
カップの中身はモヤシ(種麹)でした。
種切りです。
引き込んだ蒸し米に種麹を振り掛ける作業です。
麹室に入ること自体、とても緊張するのですが、今回はご好意で大吟醸の種切りに立ち合わせて頂いたんです。
この作業が約40分続くのですが、途中の出入りは当然禁止。
途中、何度かジッとしていなければいけない時間があるのです。
人が動くと気流が変わるからです。
緊張感がヒシヒシと伝わって来ます。
(ホント緊張しました…。)
先に仕込まれていた大吟醸の麹を見せて頂きました。
まずは手に取って香りと味の確認。
ほのかに栗のような香りがあり、甘味を感じます。
麹の状態をより良く見る為に部屋の明かりを消して。
麹の下からライトを当てると、このように麹米の一部が黒く映っています。
この米の黒い部分に麹菌が繁殖しています。
この状態を破精(はぜ)と言い、ご覧のように破精込みがまばらな状態の麹を突破精(つきはぜ)と言います。
こちらは蔵の中にある「無限庵」です。
今回はこちらの部屋を商談やインタビューに使用させて頂きました。
都美人グッズや新聞記事等も掲載されています。
蔵見学に来られた方の試飲スペースとしても用いられているようです。
都美人酒造で使用されている米も展示されていました。
さてここからは洗米の作業です。
洗米は第二の精米と言われる程、とても重要です。
皆様、ストップウォッチをジッと見詰めてスタートを待っています。
今回の洗米はバッチ式と言って、10kg毎に洗米した後、浸漬します。
まずはこの洗米機で米を洗います。
この機械はウッドソン製で、現在、多くの酒蔵で採用されています。
洗い終わった米に水を吸わせた後、脱水機で余分な水分を取り除きます。
浸漬や脱水も全てストップウォッチで管理されています。
そうすることで、米の吸水量を一定にします。
洗米、浸漬が終わった米はこちらに集められます。
この米を翌日に蒸します。
ご覧下さい!
この巨大な棒!
これが天秤搾りです!
都美人酒造では一部の醪(もろみ)をご覧のような特殊な槽(ふね)で搾ります。
醪を詰めた酒袋を槽に敷き詰め、天秤棒で加圧しながら搾ります。
さて、夜はお楽しみの懇親会!
木村SHOKUDOさんにやって来ました!
では、中へ。
大吟醸の仕込みがある大変な時期にも関わらず、山内杜氏にもご同席頂きました。
まずは乾杯のシーンから撮影。
乾杯の酒は山廃純米大吟醸です!
山内杜氏は温和な雰囲気の方なのですが、酒の話になるととても情熱的!
時間の許す限り、熱い話を聞かせて頂きました。
こちらの蒸し穴子と活性にごりがピッタリ♪
他にも淡路島産の食材を中心に都美人と合わせて楽しみました。
淡路島の食材に都美人は欠かせません!
写真/清野達也
文/金巻 忍