今回の訪問先は京都市伏見区にある「澤屋まつもと」を造る「松本酒造」
こちらは蔵の西側を流れる東高瀬川の堤防から撮影しました。
春には菜の花が咲き誇り、伏見の酒蔵を象徴するシーンとしてよく紹介されています。
門の前に移動しました。
久し振りの訪問でしたが、蔵の内部がガラッと変わっていました。
左手に見えるのは事務所です。
それでは中に入ります。
蔵の外からも見ることが出来た煉瓦蔵と煙突の前にやって来ました。
「松本酒造」の建物の多くは有形文化財に登録されているので、外観は昔のまま保存されています。
煉瓦蔵と仕込み蔵の間には仕込み水が湧き出ています。
7代目蔵元、松本治平氏が追い求めた、酒造りの命とも言うべき伏見の水です。
水質は、カリウムやカルシウム等がバランス良く含まれた中硬水。
「原料に勝る技術なし」
良質な仕込み水も「澤屋まつもと」の美味しさにとって欠かせない要素の1つです。
こちらは蔵の敷地内にある「万暁院(まんぎょういん)」
1954年(昭和29年)に完成した迎賓館です。
この玄関は織田信長の弟、織田有楽斎(おだうらくさい)が再興した建仁寺塔頭(けんにんじたっちゅう)の正伝院(しょうでんいん)から移築された物です。
万暁院の奥には枯山水庭園の「畫舫園(がぼうえん)」があります。
仕込み蔵の前にやって来ました。
湯気がモクモク。
では、中に入ります。
中に入ると甑(こしき)で米を蒸している真っ最中。
「松本酒造」では円い甑では無く、四角い甑を幾つも用いて米を蒸されています。
間も無く蒸し上がりです。
米が蒸し上がりました。
手作業で掘って行きます。
蔵元の松本総一郎氏(写真後方左)と特別顧問として技術指導に当たられている勝木慶一郎(かつきけいいちろう)氏(写真後方右)が作業を見守られています。
蒸し上がった米は小分けにして運びます。
リフトで2階の麹室へ。
前回訪問した時は蔵人さんが階段で2階まで運ばれていました。
酒蔵の仕事も少しずつ人に優しくなって来ましたね。
勝木先生が蒸し米の状態をチェックする為にひねり餅を作られています。
蒸し米の状態は如何に!?
うちのボスもチェックしています。
掛米は放冷機を通して冷却されます。
作業を見守るボス。
ご覧下さい!
仕込みタンクがズラリと並んでいます。
手前に見える小さいタンクは酒母タンクです。
掃除が行き届いていて、いつ見ても美しい!
放冷機を通過した蒸し米は台車で仕込みタンクの前まで運ばれます。
運ばれた蒸し米は仕込みタンクに投入され、櫂棒を入れて行きます。
蔵元から甑に付いての説明を受けています。
蔵人は蔵の宝。
酒質の向上はもちろんのこと、蔵人にとって働きやすい環境の整備にも力を注がれています。
こちらでは分析が行われます。
酒質がどのように上がっているかを話して下さいました。
さて、ここからは洗米の作業です。
こちらは掛米の洗米です。
掛米には吟洗号と呼ばれる洗米機を使用されています。
洗った米はザルで水を切り浸漬タンクへ。
こちらで吸水させた後、排水されます。
ここからは麹米の洗米です。
限定吸水と呼ばれる、洗った米に目標の水分を吸わせる作業です。
ウッドソンのバッチ式洗米機を使用されています。
10kgの米を洗って濯ぎが終わりました。
濯ぎが終わったらすぐさま仕込み水に浸けて吸水させます。
吸水させたら吸引脱水機に掛けて脱水。
最後に重量を測ります。
この一連の作業を秒単位で管理。
目標の数値に到達出来るように作業中も秒単位で修正が行われます。
洗米・浸漬が終わった米はこちらの保温室で保管されます。
保温室を設けられたことで、翌日の蒸しの作業までの間、原料米の水分量を適切に管理することが出来ます。
これによって蒸し米の状態は飛躍的に良くなったそうです。
最後は記念撮影!
「松本酒造」のスタッフさんに集まって頂きました。
写真/清野達也
文/金巻 忍