作業用の前掛けを身にまとい、気合いみなぎる店主吾郎。
もうもうと蒸気を上げる甑を、じっと見つめる羽根さん。
蒸し上がった米をシャベルで手早く掘り出す。
その下で店主吾郎も米を受けるお手伝いに参加。
「佐野さんもやってみますか?」のお言葉に甘えて、米を掘る作業を体験させていただきました。
この日、他の蔵人は全員お休みで、羽根さんご夫婦の2人だけで作業を行なう予定だった。
そう聞くとつい驚いてしまうのだが、二人にとっては珍しくないことのようだ。
奥様も一通りの作業を心得ており、わずかの指示で準備や後片付けなどをてきぱきとこなし、見事なコンビネーションだった。
掘り出した米は麹室の前に運ばれ、このように狙いの温度になるまで冷まされる。
店主吾郎も薬用石鹸で手を洗ってお手伝い。
素手で米を触っているが、場所によっては蒸気が籠っていてかなり熱い米の塊もある。
布を持ち上げて、米の上下を返す「波返し」にも挑戦。
少しコツが必要で、きれいにひっくり返すのは意外と難しい。
米に温度計を挿して、狙い通りの品温に到達したら、冷めないうちにさっと麹室に引き込む。
麹室での作業を行う前に、酒母の櫂入れも体験させてもらえることになった。
櫂棒を手に、ちょっとポーズを取ってみた。
酒母の櫂入れは力任せにやってはいけない。
羽根さんに説明を受けながらお手本を見せてもらう。
店主吾郎も櫂入れに挑戦!
見よう見まねでやってみるが、これでいいのかと少し不安な気持ちになる。
温度計で品温を確認。
1箇所だけでなく、複数のポイントで温度を測った後、「よく櫂が入っています」と羽根さんから合格点をいただきました。
先ほどの蒸し米が適温に到達したので、麹室に引き込み。
いよいよメインイベント「種付け」作業が始まる。
引き込んだ米は種麹がまんべんなく付くように、このようにテーブル一面に広く薄く広げる。
種麹を振り付ける羽根さん。
麹室は見学禁止にしている酒蔵が多い中、羽根屋では室内に加えて、作業中も撮影させていただくことができました。
「佐野さんもやってみますか?」と羽根さんから驚きの提案をいただき、店主吾郎も初めての種付けに挑戦!
種付けのコツを教えてもらい、一振り一振り真剣に種付けしてきました。
全ての作業を終えて、思わず手ぬぐいで汗を拭く店主吾郎。
麹室の中は、麹菌が繁殖しやすい気温と湿度に設定されており、長時間室内で作業すると汗だらけになってしまう。
高温多湿の麹室から出たときの気持ち良さもさることながら、貴重な体験ができたこと、一仕事やり遂げたという充実感に、自然と笑顔が出てしまいました。