栃木県の北部、塩谷郡塩谷町(しおやぐんしおやまち)にやって来ました。
塩谷町は日光東照宮で有名な日光市の東に位置する、自然豊かな町。
今回の訪問先は「松の寿(まつのことぶき)」を造る「松井酒造店(まついしゅぞうてん)」です。
この水は「松の寿」の仕込み水です。
メチャメチャ美味しいんです!
私はこの水の美味しさに惚れて「松の寿」を皆様にご紹介したいと強く思うようになりました。
ボスも早速1杯。
とても軟らかいお水なんです。
栃木県の酒蔵の中でも最も軟らかい超軟水!
「松の寿」のどの酒を飲んでもお水の軟らかさが伝わって来ます!
このお水で淹れて頂いたお茶がまた美味しいんですよ!
蔵に到着して間も無く米洗いの作業が始まりました。
計量しておいた米を洗米機に投入します。
今回の米はとちぎ酒14という名前の栃木県オリジナル品種です。
精米歩合は88%。
普段我々が食べている白米と殆ど変わらない精米歩合です。
この洗米機は他の酒蔵の写真集でも度々登場している「ウッドソン」製です。
洗米機に投入し、洗われた米を袋を張ったザルで受け止めます。
その後、ご覧のようにシャワーが掛けられます。
機械での洗米が終わったら更にすすぎの作業を行います。
洗米は第二の精米とも呼ばれています。
徹底して洗うことで理想的な蒸米が出来るのです。
すすぎ終わった米は素早く仕込み水が入ったたらいに浸けて吸水させます。
浸漬の作業です。
引き上げたら水を切ります。
更に脱水機に掛けて完全に水を切ります。
ご覧のように、全ての工程をストップウォッチで管理しています。
こちらの脱水機、酒造り用ではありません。
実は、クリーニング用の脱水機なんです!
脱水が終わった米は甑(こしき)に広げます。
ちなみに甑とは蒸し器のことです。
取材2日目の朝です。
こちらの方が「松井酒造店」の5代目蔵元であり杜氏の松井宣貴(まついのぶたか)さん。
栃木県の蔵元杜氏のパイオニアであり、下野杜氏(しもつけとうじ)に初めて認定された方でもあります。
酒蔵の朝を象徴する1枚。
甑に張られた布がプーッと膨らんでいます。
うちのボスはいつも甑に手をかざし手を温めます。
ご覧下さい!
甑の下はこんな風になっています。
ゴーッとスゴい音を立てて燃え盛る炎!
「松井酒造店」ではバーナーの火力で米を蒸しているんです!
米が蒸し上がりました!
蒸したての米からは蒸気が!
松井さんの眼鏡が蒸気で曇ってますね。
蒸米をクレーンで吊って、隣の放冷機に投入します。
もしクレーンが無かったら。
全てシャベルで掘ることになります。
時代と共に酒造りも変わって参りました。
放冷機で風を当て、蒸米を冷まし、乾燥させて行きます。
塊はご覧のように手でほぐし、均等に冷まします。
ボスも横でしっかり見学しています。
放冷機を通過した米はエアシューターで隣の仕込み部屋に運ばれます。
松井さんが櫂入れをされている様子を上から撮影してみました。
今回は3段仕込みの最後、留添え(とめぞえ)の作業なので櫂入れも大変です!
麹室の前にやって来ました。
「松井酒造店」の麹室の特徴の1つ。
それは麹室が小さいこと。
入り口はボスの身長とほぼ変わらないというか、それより低い程。
ちなみにボスの身長は174cmです。
では、中に入ります。
中はご覧のように一部屋です。
入り口同様コンパクト。
取材当日は残念ながら麹の作業がありませんでした。
作業の合間に蔵の裏山を案内して頂きました。
裏山には杉が生い茂っています。
この山を登って行くと…。
ありました!
ここが「松井酒造店」の水源です。
ここから蔵まで湧き水が引かれています。
蔵の前で「松井酒造店」の皆様に集まって頂き、記念撮影。
少数精鋭で酒造りから出荷までをこなしていらっしゃいます!
夜の懇親会はこちらのお店で!
國酒の仕業(こくしゅのしわざ)さん!
宇都宮駅周辺で美味しい料理と日本酒を楽しむなら國酒の仕業さんです!
日本酒愛に満ち溢れたご夫婦が素敵な空間を演出して下さっています。
実は前回、松井さんに連れて行って頂いたのですが、余りに素敵なお店だったので今回もリクエストしてしまいました。
では、早速中へ。
大谷石で出来た明治時代の蔵を改築したお店の中はご覧のようになっております。
今回はカウンターで。
ご主人との対話、調理の様子も楽しむことが出来る特等席です♪
それでは、宴の開始!
カンパーイ!
お刺身の盛り合わせに合わせたのは雄町!
光り物やウニには特に合っていました!
田芹のお浸しには美山錦の特別純米を。
シャープな味わいにほんのり熟成感が加わり、お燗が美味い!
芹の爽やかさやほろ苦さにピッタリ!
カウンターの前のオープンキッチンではマスターが蕎麦がきを練っていらっしゃいました。
そこで、蕎麦がきにお任せでお燗をリクエスト。
で、登場したのがお蝶婦人のお燗。
穏やかな香りで品の良い酒はお燗にピッタリ!
どの料理にも「松の寿」はしっかりと寄り添っていました。
松井さんは普段は物腰が柔らかく穏やかな方なんですが、酒の話になるととても熱い!
この夜も時間が経つのも忘れて語り合いました。
写真/清野達也
文/金巻 忍
佐野吾郎の酒蔵訪問記「栃木県 松井酒造店」 |