中島醸造(なかしまじょうぞう)
●元禄時代に創業。300年以上愛され続けている岐阜の美酒。
JR名古屋駅から中央本線に乗車。
大都会名古屋市を過ぎ、岐阜県との県境に差し掛かる頃には景色は一変、山間部へ。
名古屋から約1時間程で瑞浪(みずなみ)に到着。
「瑞穂が浪打つ」というのが瑞浪の由来なのだそう。
名前の通り、瑞浪市は自然が豊かで、米作りに適した地。
駅からは迎えに来て頂いた営業さんの車で移動。
瑞浪市は美濃焼の産地として、また、化石で有名な地域。
かつては海の底だったことや、恐竜が生息していたことが化石の発掘によって明らかになっている。
また、起伏に富んだ地形を利用してゴルフ場が多くあることでも有名だ。
そんな話をしながら進んで行くと、車が土岐川に差し掛かった。
土岐橋を渡ると前方に黒く大きな建物が。
更に進むと立派な門構え。
こちらが今回ご紹介する「中島醸造(なかしまじょうぞう)」。
「中島醸造」は1702年(元禄15年)、赤穂浪士が江戸の吉良邸に討ち入りを果たした年に創業した、現在で14代続く老舗蔵。
蔵の周辺は交通の便が良いことから村の庄屋の多くが屋敷を構えていた。
創業者の中島小左衛門(なかしまこざえもん)もそんな庄屋の1人。
年貢米に付加価値を付けるべく、余剰米で酒造りを開始。
名前は元禄時代から始まったということで「始禄(しろく)」と名付けられた。
その後、1953年(昭和28年)、12代目中島小左衛門が株式会社を設立。
製造石数のピークは1997年(平成9年)で2000石。
2001年(平成13年)に創業300周年を迎え、次の100年へと歩を進め、現在に至る。
●1本の美酒との出会いが人生を変えた!日本酒嫌いから酒造りの世界へ!
渡邉良平さんは1976年(昭和51年)、奈良県で生まれ、大阪府で育った関西人。
偶然だが、同じ能登杜氏さんの中では「都美人」の山内さん、「黒牛」の岡井さんと同学年。(ちなみに、私も。)
渡邉さんとは酒のイベントで出会い、私が「黒牛」の岡井さんと仲良くさせて頂いているご縁でお取引のオファーを頂くことに。
酒への愛、情熱いっぱいの渡邉さん。
きっと、早い段階で酒との良い出会いがあったのだろうと思いきや、意外や意外、第一印象は最悪だったそう。
渡邉さんが学生時代、先輩に無理矢理一気飲みをさせられた、しんどい酒、それが日本酒だったのだ。
さすがに現在はこのようなことは少なくなったが、当時はこれで日本酒嫌いになった方が実に多かった。
卒業後は通信関連の営業に就職。
この頃に1本の酒との運命的な出会いが。
その酒とは、奈良県の「梅乃宿酒造(うめのやどしゅぞう)」の「Unfiltered SAKE(アンフィルタード・サケ)」
現在は京都府の「木下酒造」の杜氏で「玉川」を造っているフィリップ・ハーパーさんが当時手掛けた酒。
日本酒って、こんなに瑞々しく、美味しい物だったんだ!
渡邉さんはこの出会いをきっかけに、様々な酒を飲み、酒蔵を訪問し、気が付けば日本酒にどっぷりハマっていった。
そこで、一念発起、会社を退職。
営業職からもの造りの世界、酒造業に携わるべく、就職活動を開始。
自身のことを最も必要としてくれていると感じた「中島醸造」に就職することになった。
2002年(平成14年)、「中島醸造」が400周年に向けて歩み始めた年のことである。
●大躍進!そして四季醸造へ。
異業種からの転身、不定期な就業時間・慣れない肉体労働・半期雇用の不安定さ。
心身の疲れを感じながらも、越後杜氏・但馬杜氏・自社杜氏と3代の杜氏に師事し、修行に明け暮れた毎日。
そして、ついに2014年(平成26年)、「中島醸造」の杜氏に就任。
杜氏に就任した翌2015年(平成27年)、全国新酒鑑評会に初出品で金賞を受賞。
2016年・2017年と3年連続で金賞を受賞。
輝かしいスタートダッシュを収めた。
一方、蔵の歩みとしては、2000年(平成12年)に「食事と共に愉しめる酒」として新ブランド「小左衛門(こざえもん)」を立ち上げた。
渡邉さんが「中島醸造」に入った2002年(平成14年)には原点回帰ということで、地元瑞浪の農家さんが栽培された米による酒造りを復活。
生産者の顔が見える原料米の使用など、トレーサビリティの強化にも積極的に取り組んでいった。
そして、2018年(平成30年)には新蔵を設立し、年間を通して酒造りを行う四季醸造を開始。
近年の地球温暖化による酒への影響を鑑み、短期集中型の従来の酒造りから、温度管理を徹底し、フレッシュローテーションに重きを置くことで、より高品質な酒造りへとシフトチェンジした。
●日本酒との良い出会いを大切にした心に響く美酒、小左衛門。
「小左衛門」は商品展開が実に多彩。
いずれも、良質な仕込み水、それぞれの米の特性を生かした酒ばかり。
どなたにでも気軽に楽しんで頂ける軽快な酒が幅広く展開している。
これには渡邉さんが学生時代に経験したことが生かされているように私は感じた。
自身が日本酒で苦い経験をしたからこそ、一口で嫌いになるような酒を造るハズが無い!
これから日本酒を飲まれる方、飲み始めたばかりの方には良い出会いをして欲しい。
「小左衛門」からはそんな渡邉さんの思いが感じられる。
一方で、(私のような)ゴリゴリの酒好きの心にも響く、コアな酒も中には。
タイプこそ違えど、いずれにも共通しているのが、人の心にスッと入って来る酒であるということだ。
また、これまでの先輩杜氏の教え、自身で学んだ経験を生かし、米の力を信じ、麹の力を最大限に引き出すことを目標に酒造りに取り組んでいる。
「小左衛門」はあなたの心に響く酒。
どうか、まずは気軽に飲んでみて頂きたい。
あなたの日本酒へのイメージはきっと良くなるだろう。
(文章:金巻 忍)
地酒.COMは蔵元との太いパイプにより、
商品の安定供給を受けています。
中島醸造(なかしまじょうぞう)の酒を試飲するJIZAKE.COMの佐野吾郎です。
「小左衛門」の販売はインターネットを代表する佐野屋が蔵元に代わって責任を持って行わせて頂きます。
当店は蔵元との太いパイプにより、商品の安定供給を受けております。
インターネットで中島醸造の商品をお求めの際は、是非とも地酒.COM、佐野屋をご利用下さい。
2023年 4月
●能登杜氏自醸清酒品評会にて特別賞受賞!
令和5年4月25日・26日能登杜氏自醸清酒品評会が行われました。主催は能登杜氏組合と石川県杜氏振興協議会。
そこで中島醸造の杜氏、渡邉 良平氏が普通酒部門にて特別賞「能登杜氏組合長賞」「能登町議会議長賞」を受賞されました。
2022年3月
●「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2022」にて金賞受賞!
2022年3月8日、東京都千代田区の学士会館において「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2018」が開催されました。
12年目となる2022年の今大会は292社から過去最高の1064点がエントリー。その中から「メイン部門」において「小左衛門 特別純米 信濃美山錦」と「小左衛門 大吟醸」が金賞、「プレミアム大吟醸部門」において「小左衛門 純米大吟醸 別誂」が金賞を受賞しました。