今回の訪問先は栃木県大田原市にある、「大那」を造る「菊の里酒造」です。
限定流通ブランド「大那」の名前の由来は「大いなる那須の大地」
蔵の周りには「大那」の名に相応しい那須の田園風景が広がります。
写真は蔵の正面玄関。
それではこれより、「菊の里酒造」をご紹介致します。
今回の取材訪問は2月の末でした。
ひな祭り前ということで、蔵にはつるしびなが飾られてありました。
蔵の入り口には「蜂龍舎(ほうりゅうしゃ)」と書かれた額が飾られてあります。
「蜂龍舎」とは「菊の里酒造」の創業当初の屋号です。
こちらの方が「菊の里酒造」の8代目蔵元、阿久津信(あくつまこと)さんです。
阿久津さんは情熱的!そして、とにかく明るい!
「大那」を飲んでいると阿久津さんの人柄がそのまま酒に反映されているように感じます。
阿久津さんの後ろにある井戸は初代蔵元、阿久津傳一郎(あくつでんいちろう)さんが掘り当てた「蜂龍の井戸」です。
洗米の作業です。
米が洗米機に投入されています。
隣ではボスがスマホで動画の撮影!
洗米機に投入された米が水流と泡で徹底的に洗われます。
この機械は現在多くの酒蔵で採用されている「ウッドソン」の洗米機。
洗米は第二の精米と呼ばれる程、とても重要な工程です。
水ですすぎ終わったらすぐに仕込み水に浸けます。
ここで適正な水分量になるまで米に水を吸わせます。
浸ける時間は米や精米歩合、気温や水温によっても変わります。
「菊の里酒造」で使用されている米の約95%が地元産。
那須高原の麓、「黒田原地区(くろだはらちく)」の契約農家さんが減農薬で栽培されています。
これぞ正しく地酒ですね!
給水が終わったら引き上げて計量します。
これらの作業は全てストップウォッチで秒単位で管理されています。
酒の良し悪しは原料処理で決まると言っても過言ではありません。
こちらは麹室。
写真の麹は箱麹(はここうじ)と言って、木の箱を用いて麹が造られます。
麹造りでは保温・温度管理・換気がとても重要です。
麹の表面は乾燥しやすいので、帆布を用いて乾燥を防ぎます。
こちらは釜場です。
甑(こしき)で前日に洗米・給水された米が蒸されています。
蒸気で甑布がプーッと膨れています。
これぞ酒蔵の朝の作業風景を象徴するシーンです。
ボスは寒がりなのでいつも甑の蒸気で手を温めています。
そう、冬の酒蔵はとても寒いのです。
そんな環境にも負けず、日々蔵人さんが酒造りを頑張って下さっているからこそ、我々は美味しい酒が飲めるのです。
さあ、米が蒸し上がりました!
シャベルで蒸し上がった米を掘って行きます。
蒸したての米はとても熱い。
そこでご覧のように外気を当てて米を冷まします。
冷めたら布で包んで麹室に運びます。
先程掘られていた蒸米は麹用だったのですね。
麹室の入り口では蔵元の阿久津さんがスタンバイされていました。
ここからは阿久津さんの担当です。
まずは蒸米を室の中に運びます。
麹室に運ばれた蒸米はハクヨー社製の床用製麹機の上に広げられます。
この台の上で適正な温度と水分量になるように調整されます。
続いて、種切りです。
箱にモヤシ(種麹)を入れ、蒸米に振り掛けます。
この時は人が動くと気流が乱れるので、本来は種を切る方以外は室の隅でしゃがんで口を塞いで待機します。
今回は取材ということで、阿久津さんのご好意で撮影させて頂きました。
一部の掛米用を除き、残りは全てクレーンで吊り上げます。
最近はクレーンを使用する蔵元が増えましたが、昔は全て手作業で掘られていました。
私も何度か経験させて頂いているのですが、なかなかの重労働です…。
クレーンで吊り上げられた掛米用の蒸米は放冷機に投入されます。
アツアツの蒸米に放冷機で風を当てることによって適度に水分を飛ばし、冷まします。
こちらでは仕込みタンクに掛米を投入されています。
この米は放冷機を通さず外気で冷まされた物です。
ご覧のように1人ずつハシゴを上り下りするのでは無く、流れ作業で米を投入して行きます。
布に包まれた米をタンクに投入し、隣では絶えず櫂入れが行われています。
「菊の里酒造」では高齢の蔵人さんも多くいらっしゃるので、出来るだけ負担が掛からないように工夫されています。
それと、絶えず安全確認を行い、声を掛け合って気遣いながら作業を進められていました。
こちらは槽場(ふなば)です。
ピッカピカ!
令和元年酒造年度の大きな変更点の1つ。
ヤブタ(圧搾機)を囲い、冷蔵管理されています。
清潔で安定した温度管理の元で酒を搾る。
これで酒質は更に向上します!
いくぞーっ!!
いーち!にー!さーん!大那ー!!
蔵人の皆様の集合写真と掛け声を動画に撮らせて頂きました。
とにかく「菊の里酒造」の皆様は明るい!仲が良い!
「和醸良酒(わじょうりょうしゅ)」
「菊の里酒造」の酒の美味しさの秘訣はここにあるのかも知れません!
今回の懇親会の会場はこちら!
大田原市内にあるたわら寿さん。
阿久津さんの思い入れがとても強いお店なんです。
というのも、取材の日程が一度変更になったのですが、その理由がたわら寿さんがお休みだったから。
そんなことがあったので、私の期待感はマシマシ!
それでは、早速中へ。
お店に入って1秒で納得!
お店の雰囲気、スタッフさんの温かいおもてなし。
食事を頂く前から阿久津さんがなぜこのお店にこだわられたのかが分かりました。
では、まずは乾杯!
阿久津さん、明るい笑顔でカメラ目線を下さいました♪
全ての料理をご紹介出来ないのが残念!
どの料理も美味しくそして美しい。
細やかな心配りが会を盛り上げてくれます。
お造りはやっぱり日本酒ですよねー!
何を食べても美味しいのですが、特に感動したのがお野菜。
お野菜の甘味とキリッとした中にも旨味がある超辛口。
メチャメチャ合ってましたー!
にぎり寿司には生もと純米!
シャープな味わいがにぎりの繊細な味わいに絶妙に馴染みます。
写真にはありませんが、お燗も美味しかったです!
栃木県と言えばイチゴー!!
イチゴって酒に合うんですよー!!
これはデザートではありません。
最初に提供して下さいました。
皆様にも是非お試し頂きたい組み合わせです。
とにかく大満足!
美味しく楽しい懇親会でした。
写真/清野達也
文/金巻 忍
佐野吾郎の酒蔵訪問記「栃木県 菊の里酒造」 |